私だったり、私じゃなかったり。

フィクションもノンフィクションも。

中3の夏、あの教室でひとり。

 

今年最後のプールの授業が終わって

制服に着替えた私は席に座って

窓の外を眺めていた。

 

 

 

窓の外を眺めていたって、

好きな男の子がグラウンドで

体育の授業をやっていて、

サッカーボールを追いかけている姿なんて

見えやしない。

 

 

それでも、なんとなく

窓の外を眺めている。

 

 

 

机には、“進路希望調査票”

 

 

中3の夏、人生の選択を迫られている。

 

 

 

 

だけどわたしには、なにもない。

 

 

やりたいことも、行きたい場所も。

 

 

 

 

ただひとつ、

「早く外の世界に出たい」

 

 

それが私の願い。

 

 

 

どこか窮屈に感じている教室も学校も

住んでいるこの町も。

 

 

 

 

今あるこの環境が私にとっての「世界」そのもので、

私にとって「世界」の全て。

 

 

 

 

 

あと半年でこの学校を卒業して、

 

自分の学力に見合った高校へ行って

3年間をその場所で過ごす…

 

 

 

そんな生活を考えただけで、頭が痛くなる日々。

 

 

 

部活も引退して、何も楽しくない今。

 

 

 

私は初めて、自分の人生について考えている。

 

 

 

 

そして私は、生まれて初めて、

 

自分の人生の「選択」をする。