私だったり、私じゃなかったり。

フィクションもノンフィクションも。

短編

「」

「生きるために死ぬのかな」 『なんの話?』 「誰かが生きるために、誰かが死んで、 自分が生きるために、私は死ぬんだね」 あの日、彼女は風になった。

中3の夏、あの教室でひとり。

今年最後のプールの授業が終わって 制服に着替えた私は席に座って 窓の外を眺めていた。 窓の外を眺めていたって、 好きな男の子がグラウンドで 体育の授業をやっていて、 サッカーボールを追いかけている姿なんて 見えやしない。 それでも、なんとなく 窓の…